2026年のしぶんぎ座流星群の情報

2026年のしぶんぎ座流星群について、流星が多く見られると予想される極大の頃の情報をまとめました。

2025年1月4日3時30分に出現したしぶんぎ座流星群の明るい流星（動画から切り出し）　山梨県大月市　撮影：佐藤 幹哉
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極大時刻（世界的に見た場合）

2026年1月4日　6時16分（日本時）

• この時刻は、過去の活動から極大とされる「太陽黄経が283.15度（2000年分点）となる時刻」を分単位で計算したものです。ただし、しぶんぎ座流星群の極大（活発に出現する期間）は、前後にずれて観測されることも多く、「分の単位」まではほとんど意味を持ちません。あくまで目安として捉えてください。
• この時間帯は、日本各地で薄明が始まっていて、観測には向いていない時間帯です。この直前の夜明け前の頃が、最も条件の良い時間帯となりそうです。
• 2026年は、極大前日の1月3日に満月になったばかりの月が、一晩中空で明るく輝きます。強烈な月明かりの影響を受けて、見える流星数が少なくなりそうです。

実際に見ることのできる予想流星数（東京）

極大日前後に、実際に見ることができると予想される（計算上の）流星の数です。個数は、一人が1時間あたりに見られる流星数に換算してあります。

※日本流星研究会の内山茂男さんの集計結果等を参考にして、実際に見られる流星数を当方が計算しました。
※関東以外では計算結果が少し異なりますが、傾向はだいたい同じです。
※2026年は月明かりの影響を考慮しています。このため、「5.5等まで見える空」の欄でも、実際には5.5等まで見えないものとして計算している時間帯があります。「4等まで」「2等まで」についても同様です。

観測地別の予想流星数：
札幌｜仙台｜名古屋｜大阪｜倉敷｜福岡｜那覇

概要

• 2026年のしぶんぎ座流星群は、1月4日（1月3日深夜過ぎ）明け方の時間帯を中心に、流星数が増加しそうです。ただし月明かりの影響で、見られる流星数はだいぶ少なくなります。
• 極大時刻は1月4日6時過ぎです。この時間帯は日本では薄明が始まっており、特に東日本では流星の観察に向いていません。この直前の時間帯が最も好条件だと予想されます。
• しぶんぎ座流星群の放射点は、一般に深夜に地平線から昇り、夜明けの時間帯に向けて高くなります。このため、同じ夜では夜明け前の時間帯に流星が最も多く見られる傾向があります。
• 2026年の1月4日未明の場合は、放射点が高くなって見える流星が増える効果と、極大時刻に向かって流星数が増加する傾向が重なり、明け方に向かって流星数が急に増えていくことが予想されます。
• なお、極大日の前日が満月です。冬の満月は夜半の頃にはかなり高い空で輝き、強烈な月明かりの影響を受けることになります。このため、同じような極大時刻の年に比べると、見られる流星はかなり少なくなります。
• これらの条件を勘案して予想すると、最も多く流星が見られるのは1月4日の5時（3日深夜過ぎ29時）頃で、空の暗い場所で見た場合には、1時間あたり15〜20個程度が見込まれます。
• ただし、しぶんぎ座流星群では、極大がずれたり、予想よりも少ない出現となったりして観測されることもあります。1時間あたり10〜25個程度の幅は十分に考えられますので、注意して観測に臨んでください。

観測できる時間帯について

• しぶんぎ座流星群の放射点は、23時頃に地平線から出てきます（東京の場合、以下同じ）。このため、夜半前は地平線の下か低空に位置することになるため、ほとんど流星が見られません。
• 一般的に流星の数が増えてくるのは、放射点の地平高度が20度より高くなる1時台に入ってからです。
• 明け方は、5時20分頃に天文薄明が始まり、空が明るくなり始めます。観測できるのは5時半を過ぎた頃までです。
• 期間中は月が一晩中空にあります。月明かりの影響を大きく受けるため、暗い流星が見づらい状況です。
  月の出と月の入りの時刻は以下の通りです（東京）。
  • 1月2日・月の出：15時05分、1月3日・月の入り：6時42分
  • 1月3日・月の出：16時16分、1月4日・月の入り：7時38分
  • 1月4日・月の出：17時31分、1月5日・月の入り：8時22分

参考：「しぶんぎ座」について

• 「しぶんぎ座流星群」の名称は、かつて使用されたことがあり、現在は存在しない「壁面四分儀座（へきめんしぶんぎ座、Quadrans Muralis）」という星座に由来します。流星群の放射点は、かつてのこの星座付近に位置していて、現在の88星座の名称などが決定していく1922年よりも前から「Quadrantids」「Quadrantid meteor shower」等と呼ばれてきました。このため、2009年に流星群の正式名が決定する際にも「Quadrantids」が採用されることになりました。そこで対応する流星群の和名についても、以前から日本で慣用的に使用されてきた「しぶんぎ座流星群」が採用されました。
• 放射点は、現在の星座ではうしかい座の北側で、りゅう座との境界に近い辺りに位置しています。

参考：今後10年間（2026年〜2036年）のしぶんぎ座流星群の極大時刻

• この時刻は、過去の活動からしぶんぎ座流星群の極大とされる、太陽黄経が283.15度（2000年分点）となる時刻を分単位で計算したものです。
• 前述の通り、しぶんぎ座流星群の極大は、少々ずれることもあります。時刻はあくまで参考です。
• 極大時刻の条件は、極大時刻が夜で放射点が高い時間帯にあたるときが◎です（今後しばらくはこのような条件になりません）。あとは目安です。
• 月の条件は、月明かりがなく観測できる場合が◎です。あとは目安です。
• 今後は、2030年と2033年が比較的良い条件となりそうです。ただし、近年のしぶんぎ座流星群では、極大時刻や極大時の流星数の規模が変わりつつある状況と思われますので、必ずしもたくさんの流星が見えるとは限りません。

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佐藤 幹哉（国立天文台／日本流星研究会／FAS府中天文同好会）
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