2023年のしぶんぎ座流星群の情報
2023年のしぶんぎ座流星群について、流星が多く見られると予想される極大の頃の情報をまとめました。
極大時刻(世界的に見た場合)
2023年1月4日 11時52分(日本時)
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この時刻は、過去の活動から極大とされる「太陽黄経が283.15度(2000年分点)となる時刻」を分単位で計算したものです。ただし、しぶんぎ座流星群の極大(活発に出現する期間)は、若干前後することが多いようです。「分の単位」まではほとんど意味を持ちません。あくまで目安として捉えてください。
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この時間帯は、日本の昼間にあたっており、日本で観測することはできません。
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なお、前年の2022年の予報極大時刻は、日本の明け方の時間帯に当たっていて好条件と考えられていましたが、実際の流星数はあまり伸びませんでした。
実際に見ることのできる予想流星数(東京)
極大日前後に、実際に見ることができると予想される(計算上の)流星の数です。個数は、1時間あたりに見られる流星数です。しぶんぎ座流星群は、観測する年によって出現数の差が大きいため、幅を持った表現をしています。
月日 | 時刻 | 良好な観測地 (5.5等まで見える空) | 郊外 (4等まで見える空) | 市街地 (2等まで見える空) |
1月2日夜〜3日朝 |
3日 1時頃 | 0〜1個 | 0〜0個 | 0〜0個 |
3日 3時頃 | 1〜3個 | 0〜1個 | 0〜0個 |
3日 5時頃 | 2〜5個 | 1〜2個 | 0〜0個 |
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1月3日夜〜4日朝 |
4日 1時頃 | 2〜4個 | 1〜2個 | 0〜0個 |
4日 3時頃 | 5〜12個 | 2〜4個 | 1〜1個 |
4日 5時頃 | 11〜25個 | 4〜9個 | 1〜2個 |
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1月4日夜〜5日朝 |
5日 1時頃 | 1〜3個 | 0〜1個 | 0〜0個 |
5日 3時頃 | 2〜5個 | 1〜2個 | 0〜1個 |
5日 5時頃 | 3〜8個 | 1〜3個 | 0〜1個 |
時刻 | 良好な 観測地 (5.5等まで 見える空) | 郊外 (4等まで 見える空) | 市街地 (2等まで 見える空) |
1月2日夜〜3日朝 |
3日 1時頃 | 0〜1個 | 0〜0個 | 0〜0個 |
3日 3時頃 | 1〜3個 | 0〜1個 | 0〜0個 |
3日 5時頃 | 2〜5個 | 1〜2個 | 0〜0個 |
1月3日夜〜4日朝 |
4日 1時頃 | 2〜4個 | 1〜2個 | 0〜0個 |
4日 3時頃 | 5〜12個 | 2〜4個 | 1〜1個 |
4日 5時頃 | 11〜25個 | 4〜9個 | 1〜2個 |
1月4日夜〜5日朝 |
5日 1時頃 | 1〜3個 | 0〜1個 | 0〜0個 |
5日 3時頃 | 2〜5個 | 1〜2個 | 0〜1個 |
5日 5時頃 | 3〜8個 | 1〜3個 | 0〜1個 |
※日本流星研究会の内山茂男さんの集計結果をもとに、実際に見られる流星数を当方が計算しました。
※関東以外では計算結果が少し異なりますが、傾向はだいたい同じです。
※月明かりの影響を考慮しています。このため、「5.5等まで見える空」の欄でも、実際には5.5等まで見えないものとして計算している時間帯があります。「4等まで」「2等まで」についても同様です。
観測地別の予想流星数:
札幌|仙台|名古屋|大阪|福岡|那覇
概要
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流星が多く見られるのは、1月3日深夜過ぎ〜4日朝です。前後の夜は、少ないと予想されます。
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極大時刻は1月4日11時台です。この時間帯は、日本の昼間にあたり、観測できない時間帯です。このため、この前にあたる1月4日明け方に、多く見られると予想されます。
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しぶんぎ座流星群の放射点は、深夜に地平線から昇り、夜明け前に向けて高くなります。このため、同じ夜では夜明け前の時間帯に流星が最も多く見られる条件となります。
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極大夜には、満月前の明るい月が未明まで残り、夜明けの頃に沈みます。このため、夜明け前までは月明かりの影響があって、見られる流星が少なくなります。
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これらの条件を勘案して予想すると、1月4日の5時(3日深夜過ぎ29時)頃を中心に、この前後でやや多めの流星を見ることができそうです。
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なお、しぶんぎ座流星群では、極大がずれたり、予想よりも少ない出現となったりして観測されることもあります。また逆に予想極大の時刻からずれて、やや活発な出現が見られることもあるので、注意が必要です。
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前年(2022年)は、極大時刻が日本の明け方の時間帯だったため非常に活発な出現を予想しましたが、実際には予想の半分または半分以下の出現にとどまりました。詳細はまだ不明ですが、流星物質が木星の引力(摂動)の影響を若干受けている部分だったことによる可能性があります。(2022年とは状況が異なりますが)2023年の場合も木星の引力の影響を若干受けている流星物質のため、要注意と言えるでしょう。
観測できる時間帯について
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しぶんぎ座流星群の放射点は、23時頃に地平線から出てきます(東京の場合、以下同じ)。このため、夜半前は地平線の下か低空に位置することになるため、ほとんど流星が見られません。
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一般的に流星の数が増えてくるのは、放射点の地平高度が20度より高くなる1時台に入ってからです。
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ただし、今年は月明かりの影響があって暗い流星がまだ見づらい状況です。2時〜3時の月の高度が低くなる頃から流星が増えてくるように感じるかもしれません。
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明け方は、5時20分頃に天文薄明が始まり、空が明るくなり始めます。観測できるのは5時半を過ぎた頃までです。月が沈んでからこの頃までは、好条件で観察可能です(1月5日は月の入りがこの頃になってしまいます)。
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期間中は月が明け方に沈みます。月の入りの時刻は以下の通りです(東京)。
- 1月3日・月の入り:3時26分
- 1月4日・月の入り:4時27分
- 1月5日・月の入り:5時27分
参考:「しぶんぎ座」について
- 「しぶんぎ座流星群」の名称は、かつて使用されたことがあり、現在は存在しない「壁面四分儀座(へきめんしぶんぎ座、Quadrans Muralis)」という星座に由来します。流星群の放射点は、かつてのこの星座付近に位置していて、現在の88星座の名称などが決定していく1922年よりも前から「Quadrantids」「Quadrantid meteor shower」等と呼ばれてきました。このため、2009年に流星群の正式名が決定する際にも「Quadrantids」が採用されることになりました。そこで対応する流星群の和名についても、以前から日本で慣用的に使用されてきた「しぶんぎ座流星群」が採用されました。
参考:今後10年間(2023年〜2033年)のしぶんぎ座流星群の極大時刻
年 | 月日 | 極大時刻 | 極大時刻 の条件 | 月の条件 |
2023年 | 1月4日 | 11時52分 | × | △ |
2024年 | 1月4日 | 17時59分 | × | × |
2025年 | 1月4日 | 00時05分 | △ | ◎ |
2026年 | 1月4日 | 06時16分 | ○ | × |
2027年 | 1月4日 | 12時26分 | × | ○ |
2028年 | 1月4日 | 18時31分 | × | ◎ |
2029年 | 1月4日 | 00時39分 | ○ | × |
2030年 | 1月4日 | 06時49分 | ○ | ◎ |
2031年 | 1月4日 | 12時59分 | × | △ |
2032年 | 1月4日 | 19時11分 | × | × |
2033年 | 1月4日 | 01時22分 | ○ | ◎ |
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この時刻は、過去の活動からしぶんぎ座流星群の極大とされる、太陽黄経が283.15度(2000年分点)となる時刻を分単位で計算したものです。
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前述の通り、しぶんぎ座流星群の極大は、少々ずれることもあります。時刻はあくまで参考です。
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極大時刻の条件は、極大時刻が夜で放射点が高い時間帯にあたるときが◎です。あとは目安です。
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月の条件は、月明かりがなく観測できる場合が◎です。あとは目安です。
佐藤 幹哉(国立天文台/日本流星研究会/FAS府中天文同好会)
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