2月りゅう座η流星群の出現予測情報です。2016年に5年ぶりの出現が期待されます。なお流星数は、とても少ないことが予想されます。
2月りゅう座η流星群は、2011年2月4日にNASAのCAMSから、少なくとも5個の流星軌道が求まった新流星群です(Jenniskens & Gural 2011)。ピークは、11〜12時頃(世界時)でしたが、出現したのは6〜13時と少々長い時間帯に渡っています(出現時刻:06:24、07:59、10:48、11:17、12:13、13:32、全て世界時)。速度(Vg)は約36km/sとさほど速くありませんが、流星軌道はほぼ放物線という長周期軌道を持つ流星群です。
このような背景から、当方で長周期軌道(約900年)の1回帰ダスト・トレイルを仮定し、計算を実施したところ、今年2016年に接近することが判明しました。以下、前後の接近年とその状況です。
日時 | 太陽黄経 (2000.0) | 接近距離Δ (au) | fM | 放射点位置 | 地心速度 Vg(km/s) | ||
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年月日(世界時) | 日本時 | 赤経(゜) | 赤緯(゜) | ||||
2006/02/04.30 | 2/4 16:14 | 315.249 | -0.00051 | 1.1 | 240.01 | +62.20 | 35.52 |
2011/02/04.50 | 2/4 21:00 | 315.07 | 0 | 1.1 | 239.92 | +62.49 | 35.58 |
2016/02/04.86 | 2/5 05:41 | 315.243 | +0.00065 | 1.1 | 239.99 | +62.19 | 35.49 |
※Jenniskens & Gural (2011) の観測結果をもとに、当方が条件を仮定して計算しました。
2011年以前には、2006年にダスト・トレイルが接近していることが判明しましたが、実際に2006年のSonotaCoネットワークのデータを当方でチェックしたところ、1個の流星が観測されていました。
(※ただし、出現時刻は、2/5 3:36(日本時)で、予報よりは結構離れた時間帯でした)
論文(Jenniskens & Gural 2011)の出現時間帯がダスト・トレイルの中心だと仮定しますと、今年は2月4〜5日(4日深夜過ぎ、5日未明)の5時台(日本時)が極大と計算されます。これは、東日本の夜明け頃ですが、出現時間は長いので、実際にはもう少し早くからの出現もみられそうです。
なお、流星数自体はあまり多くは見込めません。2011年の出現も、集中したと言っても10〜14時の4時間に4個という状況です。このため、一般的には眼視向きでは無いと思われます(が、もし見られたら興味深いと思っております)。
一方で、SonotaCoネットワークのような流星の自動観測では、この群の5年ぶりの検出が期待されます。
また電波観測では、夜明け後の状況も把握できる可能性があります。どうぞご注目ください。
佐藤 幹哉(かわさき宙と緑の科学館/日本流星研究会/FAS府中天文同好会)
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