みずがめ座η流星群の2019年のダスト・トレイル情報
2019年のみずがめ座η流星群に対して、接近傾向にあるダスト・トレイルを確認しました。若干ですが、流星数が増加する可能性がありますので、情報として掲載します。
(2019.4.25公開)
みずがめ座η流星群群について
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みずがめ座η流星群は、ハレー彗星(1P/Halley)を母天体とする流星群です。みずがめ座η流星群の極大は、5月6日前後ですが、ピークの期間は短くなく、数日間はおよそ同程度の活動が観測されます。
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普段の年は、ZHR=50程度(理想的な条件下で1時間に50個)の出現が見込まれます。ただ、放射点が太陽に近く、放射点が昇ってきてすぐ夜明けを迎えてしまいます。日本では、夜明け前の1〜2時間しか観測できません。このため放射点が低く、実際に観測できる流星数は、一般的に1時間に10個(HR=10)以下です。
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この流星群については、2013年に複数のダスト・トレイルとの接近を当方が予報し、実際に過去最高クラス(通常年の2〜3倍)の流星数増加が認められました。また2017年にもダスト・トレイルとの接近傾向を予報し、若干の増加が認められました。
2019年のダスト・トレイルの分布
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ダスト・トレイルモデルによる計算を実施したところ、2019年には、-539年(紀元前540年)および-985年(紀元前986年)に、それぞれ母天体のハレー彗星から放出されたダストが形成するダスト・トレイルと地球が接近傾向にあることが判明しました。
接近傾向となる時刻(日本時
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-539年放出ダスト・トレイル
5月5日7〜10時頃
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-985年放出のダスト・トレイル
5月7日16〜18時頃
予想される状況
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-539年トレイル、-985年トレイルともに、日本では昼間の時間帯になってしまいますが、2013年、2017年には、増加している時間帯が長めだったり、時刻が少しずれたりすることが見られました。このため(日本では)、5月5日の夜明け前に、-539年トレイルの影響による流星数の増加が見られる可能性があります。ただし増加の程度は軽微で、例年の2倍まで達しない程度が有力です。
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2019年の一般的な極大は5月6日23時(日本時)であり、5月7日夜明け前が見ごろと予想されます。しかしながら、これよりも2日早い5月5日の夜明け前も、極大日である7日と同程度か、あるいは少し多めに流星が流れる可能性があります。
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※みずがめ座η流星群は、ダスト・トレイルモデルによる予報が出されるようになってまだ日が浅い流星群です。このため、実際には観測するまでわからない状況であることを念頭において、観測に臨んでいただければと思っております。
その他の情報
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ダスト・トレイルの接近については、ロシアのMikhail Maslovさんも計算されています。彼の計算では、-539年トレイルが5月4日13時〜19時、-985年トレイルが5月6日21時〜7日5時(ともに日本時)と予想されています。これは、2017年の場合と同様、当方の計算よりも半日以上早い状況で、興味深く思っております。
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Maslovさんの計算結果は、2019 Meteor Shower Calendar (英語・PDFファイル)のP.9に記されています。
各ダスト・トレイルの計算結果データ
こちらに表形式でまとめました。
みずがめ座η流星群の写真・動画
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佐藤 幹哉
(日本流星研究会/FAS府中天文同好会)
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